
出会いの性質
外国人は、本当にあげたい時、ホテルの封筒に入れ置いておくのだそうだが、まあ、喜ばれることだからベッドサイドのテーブルに載せておいてあげよう。
飛行機に乗り遅れたという経験はないだろうか。
私は危うくという目に遭っている。
一九九五年、「イタリア・ギリシャ・トルコ周遊12日間の旅」に出た時のこと。
車で成田に向かったのだが横浜周辺で大渋滞にはまり込んでしまった。
抜け出してからは湾岸・東関東自動車道を一二〇~一五〇キロで飛ばし、なんとか滑り込んだことがある。
この時は福岡からの国内便も遅れ四人が乗れず、振替便で現地に深夜着というおまけもあった。
それまで、成田へのアクセスにはJRの成田エクスプレスか、車を成田の青空駐車場に預けるかだったが、NEXの場合は駅のホームの階段をいくつも、スーツケースを持って上下せねばならないし、宅配便で先送りするには中一日前に出さないと不安。
できるだけ荷物といっしょに空港に行きたいので車を利用することが多かった。
この乗り遅れ事件の前にも苦い経験がある。
「ユーロスターと花のオランダ・ベルギー8日間の旅」(一九九五年)でのこと。
預けた車が当初駐車したスペースではなく、別の空き地に持っていかれており、その上、タイヤに穴をあけられてしまった。
帰途、高速道路を走りだしてしばらくすると、何か異音を感じハンドルが重い。
sAに入り点検すると、後輪の一つが空気圧半分ほどになっていた。
危うく事故を起こすところだった。
これら苦い経験の連続から、以来、私は別の方法をとることにした。
エアポートリムジンが便利だという説もあるが、そのステーションへ行くまでの時間も考えなければならないし、乗り捨てのレンタカーも借りてくるまでが面倒だ。
やはり一番楽なのはマイカーで行くことだろう。
ではどこに置くか。
私の新手は、成田のホテルに前泊してしまうという手法だ。
ホテルの駐車場は通常二週間あるいは一五日間、無料で置いてくれる。
泊まり賃が高いだろうと思われるかもしれないが、一人六〇〇〇円からあった。
朝食付きでも七〇〇〇~八〇〇〇円、二人だと一一〇〇〇円~一五〇〇〇円ぐらい。
旅行代理店やカード会社、マイレージサービス関係の優待券なども利用できる。
ホテルの優待券を出している同じ旅行代理店がサービスする駐車場の料金はというと、八日間で六〇〇〇円~八八〇〇円もする。
例えば二〇〇〇年に「エジンバラ・湖水地方と伝統香る英国紀行8日間」に参加した時はこうだった。
旅行会社が設定していた宿泊優待料金は、ANAホテル一人六〇〇〇円。
車は一四日間駐車無料。
一方、指定駐車場の料金は割引で八八〇〇円だ。
一人の場合は絶対ホテルの方が安いということになる。
二人の場合でも、乗り遅れナシ、ゆったり出発でき、スーツケースの別送料金もいらない。
さらに車も安心して置いておけるとなれば、やはりホテルからは空港へ、その逆もまた、送り迎えの大型バスが用意されているし、駐車場の送迎バスほど頻繁ではないが、帰国時にホテルのきれいな洗面所が利用できるのもうれしい。
成田では、前の項に述べたように両替をし、カウンターでチェックインし、スーツケースを預け、これからお付き合いする添乗員さんに初見参となる。
基本的に機内持ち込み荷物は一個。
飛行機に預けて運んでもらう荷物は太平洋路線では大きさで計測され、欧州路線などは重量で計測される。
でも、あなたのスーツケースにヘビーなるタグが張られて重量オーバーとなっていたとしても、ツアーの場合は参加者全員のトータルで計算されるから重量超過料金は徴収されないので、ご安心を。
さて、まだまだ時間があるような場合、ゴールドカードのクレジットカードをお持ちなら、各カード会社のラウンジが無料で利用できる。
その上、ビールやコーヒーが一杯はサービスされ、各国の資料やサービスクーポンなども揃っていたりする。
かつては同伴一人も無料だったが、近ごろそれは制限されているようだ。
いよいよ時間になると、全員所定のスペースに集合。
添乗員のあいさつと注意を聞く。
何番ゲートに何時何分集合という案内を後に、それぞれ通関のゲートへ向かう。
パスポートに出国のスタンプを押され、搭乗券を抱えて、次に行くところは当然免税店だ。
成田の免税店は世界的に見ても安いといわれており、どうしてもほしい化粧品など、かさばらない物は邪魔だと思っても買っておく方が良い。
向こうの国の免税店にその望みの物が必ずしもあるとは限らないからだ。
私も次の旅で必要な電気の変換プラグを安く手に入れたことがあるし、ウイスキーも一本は必ず買い求める。
ホテルの部屋で楽しむためだ。
また、エジプト航空などイスラム圏の航空機では機内でアルコールのサービスはないから、その時はこっそり出して味わったりもできる。
ここから先、どこの国のエアーに乗るかで世界が違ってしまう。
成田から外国という表現はこんな意味でもあるが、旅に出たら早く異国の空気を吸いたいと思うはず。
外国のエアーなら成田で乗り込んだ時から、それが味わえる。
一九九八年「ドナウの暮夜ブダペストとウィーン・プラハ・ベルリン10日間」の旅で乗ったルフトハンザ航空の機内は、これが同じジャンボ機かと思うほどギャレーはピカピカ、トイレも清潔そのものだった。
ドイツ人がどんな人たちか、これを見ただけでよくわかる。
一方、「インド8日間の旅」で乗ったエア・インディアの機内では、夜中にスプレーらしきものを天井に向けて吹きかけて回っている光景を目にしたが、加湿用か虫除けか何かなのだろう。
これもお国ぶりを反映させている。
ロシアのアエロフロートには二〇〇一年の「バルト3国とサンクトペテルブルグ9日間」でイリユーシン62という変わった大型機に乗ったが、トイレは穴がポッカリ開いているものだし、ビデオ画面など、どこにも見当たらない。
その七年前の一九九五年、「オランダ・ベルギー8日間」で乗ったヴァージンアトランティックの機内には、既にエコノミーの客席にもテレビ画面が一つひとつ付いていて、映画もゲームも、それぞれが楽しめるようになっていた。
同じ一九九五年、「イタリア・ギリシャ・トルコ12日間」で乗ったアリタリア航空の機内食は、さすがイタリアという国を感じさせるものだった。
このように、機内は各国のお国ぶりが色濃く反映されていて実に楽しい。
直行便か乗り継ぎか直行便といっても必ずしもノンストップ便ばかりではないのだが、目的地へすんなり連れて行ってくれる。
とはいうものの、「アルハンブラの思い出とスペイン・ポルトガル周遊10日間」(一九九四年)で利用したイベリア航空はモスクワ経由になる。
このモスクワ空港では、なぜか機内清掃が行われ、全員荷物を持って機外で待機させられる。
機内に置いた荷物が消えたりすることもあるからと言われ、なかにはスペインの空港免税店で仕入れたワイン一ダースの重たいボックスを抱えて降りるハメになる人もいた。
「豪華客船ナイル川クルーズで巡るエジプト古代遺跡の旅8日間」(一九九七年)では、南回りの航路ということもあって、エジプト航空便はマーフとバンコクに降りて一六時間の旅をする。
ヨーロッパ回りという手もあるが、それでも一回はトランジットが必要になろう。
いずれにしても、ポルトガルやアフリカ、南米には一回の飛行では到達できない。
ただ、南米に行く時、日本人は必ずアメリカ経由のコースを考えるが、旅慣れた人はヨーロッパ回りで飛ぶという。
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